§ Moodstockの土岐麻子

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期間限定スペシャルブログ 土岐麻子:九州に行くよ日記 | ラスト!

昔のJazzのアルバムにありそうなタイトルをつけてみた(w

久しぶりにナマの土岐麻子。前回のライブはチケットを取り損ねるという大失態を犯してスルー。甚だしく気分が悪かったのだけど。今回はほぼ予定通り。会場入りもいいタイミングで、なんとかシートを確保。なんと5時間という長丁場なライヴなので、スタンディングはツラい。

Moodstockというこのイベント、けっこう歴史が長いらしいのだけど、実は見るのは今回が初めて。名前からするとWOODSTOCKリスペクトな感じがするのだけど、コンセプトと見ると、よーするに「東京発ワールド系ミュージック・イベント」って感じだろうか。名称から受ける印象とその実体のねじれ具合が、なんともオルタネイティヴぽい。

過去ログを見ると、基本的にライン・アップはすべて実力派で固められている。choro azul、saigenji あたりを複数回ひっぱりだしてきているあたりに運営者のセンスが感じられる。いいことだ。さて、今回のブッキングをみてみる。山本のりこ、島裕介&伊藤志宏、choro azul、土岐麻子という顔ぶれ。基本路線は堅持されている模様。多分、Moodstock的にはchoro azulがスイートスポットなんじゃないかと想像。実際、choro azul目当てだと思われるオーディエンスが結構たくさんいた。MCで東京でのライヴが久しぶりだと言っていたので、待ちこがれていた人も多いのだろう。キャリアが長い割にライヴが少ないchoro azulを聴くお買い得感はいいな(笑)

実は、土岐麻子以外、ライヴで聴くのははじめてという人たちだったので、かなり楽しみにしていた。結果から言うと、当たりくじを引いたと思う。

山本のりこは、実は名前だけしか知らず、演奏を聴くのはまったくの初めて。ベースとデュオというなかなか渋いアレンジがうまくハマっていたと思う。声質は軽めでささやくような語り口。熱く歌い上げるタイプではないので、一見なにげない歌い方のように感じるかもしれないが、イントネーションがとても正確。ミュージシャンとしての実力の高さを感じさせる。弾き歌いで奏でられるギターも派手に主張することはなく、声を中心としてそれを適度にサポートするように音が選ばれる。全体としてとても心地よく聴ける。ただし、表現が平坦になる瞬間がわりとあるので、そのへんの機微をもっと繊細に表現できるようになると、ぐっと魅力的な歌唱になると思う。ライヴ慣れしてないってのも、あるのかもしれない。ただ、実力は十分に垣間見えたので、注目しておくと幸せになれるかもしれない。

失礼ながら、島裕介&伊藤志宏のデュオはまったくのノーマークだった。しかし、これもまた大発見。まず、のっけからぶっとばす伊藤志宏のプレイには心底驚かされた。とにかくアイディアが豊富で、ストックフレーズを感じさせない表現の多彩さを思い切り見せつける。島裕介の力強い音色は、ハードプッシュ系のワイルドなトランペットの魅力を十分に味わうことができる。一見水と油のような組み合わせなのだが、島が投げつけてくる音を伊藤が鋭く切り返すので、音楽がどんどんスリリングになる。ツボにハマると、とてもデュオとは思えないダイナミズムを生み出す。これでバラードの表現力が増してくると、あっという間にメジャーシーンに顔を出すようになるんじゃないか。今回は客層がジャズじゃなかったから、微妙な受け方してたけど、この二人は間違いなく逸材だ。(蛇足だけど、伊藤にはもうちょっといいコンディションのピアノを弾かせてあげたかった。間違いなくもっとスゴい演奏になる。)

CDは既に聴いていたのだけど、ライヴは初めてのchoro azul。とにかく多彩な音色を駆使して音楽を奏でる人たちなので、PAの質がものすごく気になった。特に家入哲也のパカッションをふさわしくピックアップするのは難しい。たまたま生音がきこえる位置で聴いたからよかったものの、あれがスタンディング席の後ろ側だったら、あの繊細さはよく伝わらないんじゃないだろうか。ま、しかし、林夕紀子のパワフルなヴォーカルだけでも十分に魅力的だから、楽しんで聴くことができた。正直、林の声の調子がイマイチだったような気がするけど、演奏自体はまったく問題ないレベルだった。演奏に対する集中力も高く、パワフルで伸びやかな声でオーディエンスをぐいぐい惹き付けて聴かせる歌を歌う。ただ、このユニットの魅力は林夕紀子の魅力もさることながら、家入哲也のパカッションを中心とした、なんとも形容しがたいアレンジの多彩さが見逃せない要素だった。ワールドミュージック系ではあることは確かだが、一概にどこの国のスタイルとは言い難いスタイルフリーなアレンジで、非常に個性的&魅力的。いかにも東京発の音楽らしい。前述したが、非常に繊細なサウンドを駆使するユニットなので、その微妙な表現にこそ耳を傾けたのだけど、あのハコではその魅力のすべては伝わりにくいのかもしれない。ちょっともったいなかった。どこかのホールで演奏したら、このユニットの奏でる音楽の神髄が味わえるような気がする。

そして、最後に土岐麻子。フルートの井上信平とギターのハル高内とのトリオ。韓国でのTV収録で一度演奏したことがあるとのこと。ギターとヴォーカルという組み合わせは、歴史的に見ても完成されたデュオ形態だが、女声とフルートというのも非常に長く愛好されてきた組み合わせだ。今ではめずらしく感じる編成ではあるけど、自然に耳に馴染む。特に、バックの二人は押しも押されもしないヴァーチュオーゾであり、それぞれ美しく鳴り響く楽器の音色に触れることは音楽を聴く喜びの原点に触れる思いがする。そこへ土岐麻子によるリリカルなヴォーカルが加わると、とても純度の高い音響空間が形成される。土岐麻子のヴォーカルは声の魅力を前面に出して歌い上げるスタイルではないが、ハスキーな魅力を感じさせるウィスパー系の表現でもなく、声をピュアに響かせてその音色の美しさで聴かせてしまう不思議な魅力がある。あくまでも言葉と声のもたらすリリシズムで語りかけ、オーディエンスの心に忍び込む(笑)

実は、これは得難い個性なのだ。例えば、同じように引き延ばされたロングトーンであっても、林夕紀子と土岐麻子ではまったく異なる印象を与える。林夕紀子の場合、その声の力強い存在感で聴かせてしまうが、土岐麻子の場合、一見控えめに細く延ばされるにもかかわらず、その声から耳を離すことができない。このテイストの違いは、二人の表現の方向性の違いを端的にあらわしていて非常に興味深い。

素直にギプアップしてしまうが、土岐麻子の魅力は筆舌に尽くし難い。こればかりはその音楽を実際に聴く以外に体感するのは難しいだろう。蛇足ではあるけど、彼女の音楽の持つ雰囲気とルックスがピタリとハマって、何とも言い難い魅力を放っていた。ちょっと贔屓目かもしれないけどね(w

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おまけ。土岐麻子トリオのセットリスト。(たぶん、あってると思う…)

  1. My Favorite Things
  2. Norwegian Woods
  3. Just One of Those Things
  4. Another Star
  5. Little Girl Blue
  6. Singin' in the Rain
  7. わたしのお気に入り
  8. Human Nature
  9. September
  10. encore: When You Wish Upon a Star

サイン欲しかったけど、子どもの寝顔が見たくて終演後すぐに帰ってきた。
正直に言うと、ものすごく後悔していたりする…。

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土岐麻子関連エントリー:
土岐麻子『Debut』 : miamoto.net
土岐麻子に告ってみる。
Love You, Miss You, あるいは Cymbals.

Posted by tomo at April 30, 2006 11:59 PM | REPORT | TrackBack |

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